法定契約書面(17条書面)の交付
(1)序
貸金業者は、「貸付けに係る契約」を締結したときは、遅滞なく、貸金業法および内閣府令の定める事項(商号、貸付利率、返済方式など)を明らかにする書面を債務者らに交付しなければならず(貸金17条1~3項)、これらの書面の交付なしになされた支払いについてはみなし弁済が認められない。
なお、同法17条は、18年改正法により、極度方式基本契約の記載事項が設けられるなど改正がなされており、それに応じて43条も改正されている(平成19年12月19日施行済み)。
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(2)記載内容
① 全事項の記載が必要か
法の要求する記載事項につき、全事項の記載が必要か、一部欠けていても43条の適用を認めうるかにつき、「17条書面には、法17条1項所定の事項のすべてが記載されていることを要するものであり、その一部が記載されていないときは、法43条1項適用の要件を欠くというべきであって、有効な利息の債務の弁済とみなすことはできない。」とした。
② 記載内容が正確でない場合
「43条1項の規定の適用要件については、これを厳格に解釈すべきものである。……17条書面の貸金業法17条1項所定の事項の記載内容が正確でないときや明確でないときにも、同法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきであって、有効な利息の債務の弁済とみなすことはできない。」とした。
事案は、日賦貸金業者との借用証書における「各回の返済期日」が問題となったものであるが、判決は、集金休日の記載がない点につき記載内容が不正確、「取引をなさない慣習のある休日」を集金休日と記載した点につき記載内容が不明確だとして、当該書面の17条書面該当性を否定した。
なお、返済期日につき「毎月×日」とだけ記載され、×日が休日の場合の記載がなかった事例につき、翌営業日を返済期日とする黙示の合意があったと推認されるとしたうえで、「毎月×日」と記載されていれば足りるとした。
また、貸付利率は百分率で表示するとされているにもかかわらず(貸金14条1号)、日歩で表示した場合に43条の適用を否定した。
③ リボルビング方式、自由弁済方式の場合
リボルビング方式や自由弁済方式(元金につき最終返済期日のみを定め、毎月の返済金額は債務者の自由に委ねる方式)の場合、その性質上、契約締結時において返済期間・返済回数等について具体的な記載をすることが不可能である。
そこで、具体的に記載できない以上およそ43条の適用ができないと考えることも可能であるが、他方、記載がなくとも適用が可能であるとの考え方、一定程度の記載が必要との考え方もありうる。
この点、リボルビング方式につき、「確定的な記載が不可能な事項があったとしても、貸金業者は、その事項の記載義務を免れるものではなく、その場合には、当該事項に準じた事項を記載すべき義務があ」るとして、当該書面の17条書面該当性を否定した。
他方、自由弁済方式については、当該書面が17条書面にあたるとした。
ともに、最判の考え方は自由弁済方式についても妥当すると思われる。
したがって、記載事項に準じた事項を記載しているかどうかが問われることになる。
④ 借換え
新たな貸付けに際し、旧債務の残高をゼロとし、新債務額と旧債務額の差額だけを交付する例が行われている。
この場合、差額の交付だけであるから旧債務につき「支払った」といえないと考えることができるし、少なくとも17条書面の交付にあたっては、「貸付金額」につき、旧債務の内容と借換えの事実を具体的に記載していなければならない
この判決も受け、貸金業法施行規則は従前債務残高の内訳を明らかにしなければならないと改正されている。
(3)通数
原則1通が必要であるとしたうえで例外を認める判例と1通でなければならないとする判例がある。
例外を認めざるをえない場合でも(包括契約に基づく個別貸付けの場合)、補完関係が明確になっていることが必要となる。
(4)契約内容が変更された場合
変更内容を記載した書面を再度交付しなければならない。